不安君!ちょっとあっちに行っててね♪

受験日が近づくにしたがって、気持ちに焦りが出たり、落ち着かなかったりする日もあるでしょう。そんな時、「本当に受かるんだろうか?」とか「勉強してきたことがテストにぜんぜん出なかったらどうしよう?」といったマイナスの感情が次から次へと出てきて目の前のやることに集中が出来なくなる、こんな悪循環に駆られている生徒をよく見かけます。

 

そんな生徒に対し、私は、落ち着いて目の前にある課題にフォーカスして出来るだけ今、目の前にあるものに関心を膨らませることでマイナスの感情を小さくしていく、といったフォローを心がけています。そもそも、不安も焦りも全くない、なんていう生徒はいません。誰かれもが少なからずマイナスの感情というのを持っています。それはそれでいいのです。それをどれだけ別のアクションを取ることで遠方に追いやって自分と疎遠に近い形にしてやるか、これが大事なことなのです。

 

その方法として、私は、「自己との対話」ということを生徒たちにはよく言います。なるべく冷静に「自分は今日はこんなことが出来た!」「もっと他にやることはないだろうか?」「今日出来なかったことを次の日の〇時からもう一度チャレンジしてみよう!」などといったことを自分に対し問いかけてあげるのです。大事なのは今、現在のことです。過去の出来なかったことはもう取り上げる必要はありません。先の考えても答えの出ないことも問いかけないようにします。「俺(私)受かるだろうか?」なんてことを問いかけてみてもどこにも答えはないからです。この問いかけが出来るようになってきたら、勉強をやる前とやり終わった後に3分間毎回行う、とか、「出来たことノート」なんかを作って毎日楽しみながら書いていく、というようなこともいいでしょう。

 

自己との対話というのは、感情的な思いを抑え事実を客観的に観れるという利点があります。ただやみくもに「今日は3時か何机から離れないぞ!」といった根性論ではなく、「ここの内容は、まだ理解が不完全だからもうあと2回は読み返す必要があるぞ!」といったように細分化した課題が自分で見えてくるようになるのです。

 

マイナスの感情を押し殺し、合格・必勝みたいなものを書いた鉢巻きをしている姿を私は好みません。何故なら、もし仮に結果が上手くいかなかったときにさらにその感情は巨大化されて現れるからです。マイナスの感情はいったん受け入れてやればいいのです。「こんだけ頑張ってきたんだもん!そりゃ不安も出てきて当然やわ!」「よし、不安君、不安君、でもちょっとだけあっち行っててね!」「僕これから大事な自分とちょっとお話をするからね!」こんな感じになればいいのです。

 

このようなサポートをしていくことで生徒たちは成長していきます。他人が5時間勉強したから俺はもっとやろうとか、他人がここの学校受かったから自分より上とか言ったことに感情が振り回されるようでは仮に合格という切符を手にしても心の底からは喜べず、自己実現には至りません。自分というものを大切にし、自分の足元の大地に自らが肥料をやり、周りを見渡しても自分と同じ花はない、そこに自信と勇気をもって人生を歩んでいけるような生徒を私は育てていきたい、このように日頃より考え塾経営を行っています。

 

したがって、不安という感情は、空気中にどこにでもあるほこりやごみみたいなもの。それらをぜんぶなくしてしまうのではなく、それらに耐えられる免疫力を自分でつけていくこと、これが大事なのです。自己との対話が弾むことで自己肯定感が上がり好奇心という芽が膨らむ。その結果、他人への共感力も増し心が豊かになる、このような生き方をしていってもらいたいですね。