非生産的と思える時間こそ実は学習のゴールデンタイム

生産性ばかりを求めていても脳という機能は強化されない!

学習というのは、時としてとてつもなく非生産性なことを体験することが大切で、そのような時ほど、実は脳という機能は強化されている、ということを知ってもらいたいと思います。

 

例えば、2時間ずっと同じ数学の問題を考え続けたけど結果的には答えが出なかった。こういったときに、「ちくしょう!この2時間はなんだったんだ。けっきょくなにも進んでない。時間の無駄だったんじゃないか?」なんて後ろ向きになる必要はありません。2時間ものあいだ、ああでもないこうでもない、もしかしたらこうしたら解けるのでないか、と脳を懸命にフル稼働させたことに意味があるのです。結果としてその問題が出来た人が自分の周りにいたとしても、出来た人と比較して「自分はその人よりも劣る!」なんて思う必要はまったくありません。そもそも問題が出来たから優秀で出来なかったら劣っているなんてことを言うこと自体に意味はないのですから。

 

そこで必要なってくるのが、生徒に対するメンタルのフォローなどといったコーチングです。学習というのは出来る問題ばかりを次から次へとやり進めていくのではなく、出来ない領域に時間をつぎ込むことのほうが価値があり、よりそちらのほうに時間をかけてやったほうが脳は強化されていくということを分かるように生徒たちには伝えていきます。そのうえで計画をどういうふうに立て実行に移していくのかをフォローする側は親身に関わっていかなければなりません。親御さんが自分のお子さんの勉強に関わる場合もそうです。子供が手の届きそうにないハイレベルな問題にチャレンジしているようなときにも、出来た出来ないにコミットするのではなく、チャレンジした事実を認め、そのことを褒めてあげればいいわけです。

 

そのあとで、「わからないままで終わらせない!」ということの習慣づけも大切です。出来なかったことはそれはそれで仕方がないことです。でも、そこで終わらせていてはいけません。その後、仕切り直して純粋な気持ちで、「じゃあ、やり方の解説をじっくり読もう!」という気持ちになって学習をすることで、それまでに費やした一見無駄だと思える時間がゴールデンタイムへと変化するのです。そういった時間の積み重ねが長い年月を通じ脳を鍛え上げていきます。その根気や諦めずにもうちょっと出来るか最後までやってみようという粘り強い努力が、脳の強化、ひいては子供の成長に繋がっていくのです。

 

したがって、「わからないな!」「今の自分の力ではちょっと無理かな?」と思ったときにでも、「明日は休みだから今日は出来るかどうか時間を忘れてチャレンジしよう!」というような学習時間を是非、作っていって欲しいのです。親御さんの方もそういうアドバイスやフォローをしていってあげて欲しいのです。一見、無駄だと感じるかもしれない時間、それはきっとあとになって自分にとってはなくてはならないゴールデンタイムだったと思える時がくる、これが脳の最大強化学習法なのです。